貧血気味のときの食事

貧血気味のときの食事について考えてみたいと思います。まず、貧血対策として何といっても大事なのは、バランスのとれた食事を規則正しくとることです。

「夕食だけたっぷり」はNG

1日に必要な食べ物の量は、三回に均等分けしてとるのがじょうずな食べ方です。つまり、1日3回食事をしているといっても、朝はパンとコーヒーだけ、昼はめん類などで軽くすませ、夕食だけをたっぷりと食べるという食べ方は好ましくありません。

夕食後にすることといえば団らんや睡眠がほとんどで、消費されるエネルギーが少ないため、余分なものは脂肪になって蓄積され、肥満や成人病の原因になりかねないのです。また、このような食事内容では、必要な栄養量の不足や栄養素の偏りが生じます。

栄養バランス

体に必要な栄養素をバランスよくとるためには、毎食の食品の組み合わせもまた重要なポイントです。私たちの体に必要な栄養素は、たんぱく質、糖質、脂質、ミネラル、ビタミンの五つに大別されます。

これらが互いに協力し合って初めて生命が維持され、健康な生活が保持されるのです。栄養のバランスが崩れていると、貧血のような体調不良は良くなりません。一回一回の食事に、これらの栄養素を含む食品をじょうずに組み合わせましょう。

タンパク質を多く含む食品

体内の固形分の60%を占める

私たちの体の約65%は水分です。残り約35%の固形分のうち60%がたんぱく質で占められています。また、たんぱく質は、体を形作っているだけでなく、命の営みを続けていくうえで欠かすことのできない、ホルモンや酵素の材料としてもたいせつな栄養素です。

もちろん血液中の赤血球の膜や血色素(ヘモグロビン)も、それぞれたんぱく質からできています。

毎日つくり替えられる

体のたんぱく質は毎日少しずつつくり替えられています。つくり替えには食事からのたんぱく質が素材となって補充されていきますが、食事中のたんぱく質の不足が続くと、体に蓄えられているたんぱく質が欠乏し始めます。

赤血球

その結果、血色素をつくる材料の不足とともに赤血球をつくるホルモンも少なくなり、赤血球をつくる能力が低くなったり、赤血球が壊れやすくなったりして貧血症状を起こします。

ですから、とりわけ普段から貧血気味だと感じている人は、良質たんぱく質をとることが大切だと言われます。

アミノ酸との関係

たんぱく質は、数種類のアミノ酸の組み合わせでできています。食物からとったたんぱく質は、消化されてアミノ酸に分解されてから私たちの体に必要なたんぱく質に組み替えられます。

大豆などで必須アミノ酸を摂ろう

アミノ酸のうち体の中でつくることのできないものを必須アミノ酸と呼んでいます。この必須アミノ酸を多く含む食品が良質のたんぱく質性食品です。卵、肉類、魚介類、牛乳と乳製品、大豆および大豆製品がこれに相当します。

食品を組み合わせる

良質のたんぱく質性食品は一種類に偏らず、いくつかの種類のものを組み合わせてとるようにしましょう。良質のたんぱく質を多く含む食品でも、食品ごとにアミノ酸の組み合わせが違います。

ある食品に少ない必須アミノ酸も、別の食品には多く含まれていることがありますので、何品かの食品を組み合わせることにより、お互いの欠点を補い合って必須アミノ酸を効果的に利用することができるのです。

毎日の食事で以下の五種類を組み合わせてとるように心がけるといいでしょう。

  1. 肉類
  2. 魚介類
  3. 牛乳と乳製品
  4. 大豆および大豆製品

「まとめて摂取」はできない

貧血の治療には高たんぱく食が効果的ですが、一度にたくさんとったからといって体の中にためおきできるものではありません。必要なだけ体に取り込んだあとは、分解されて尿といっしょに排泄されてしまいます。

「昨日たくさんとったから、今日は少しにした」では効果があがりません。必要な量を毎日、毎食に分けてとるようにします。

必要なエネルギーも同時にとる

たんぱく質を効果的に利用するためには、年齢と望ましい体重に見合った必要なエネルギーをとることがたいせつです。体の中でエネルギー源となる糖質や脂肪が不足すると、せっかくとったたんぱく質がエネルギー源に使われてしまって、本来の利用効果が半減されます。

糖質源は米や小麦

糖質源としてはでんぷんの多い米飯や小麦製品を利用するのが望ましいとり方です。脂質は植物性のものを中心に利用しましよう。