草花のふやし方

ひとつの鉢を大切に長く育てていると愛情もわきますが、だんだん衰えてもきます。草花を元気に育てるには、古株にこだわらずそれを親として世代交代を早くし、元気な若い株を育てることも大切です。

株分け

株分けは、宿根草、観葉植物、洋らん類、球根類などでおこなわれます。繁殖を目的としない場合も、大株になると老化しますから、3~4年に一度は株分けをします。

時期は新しく発根して生育が始まる直前に行うのが最もよく、ふつう耐寒力の弱いものは春に、寒さに強く春に花が咲くものは秋に株分けします。

適当な大きさに分離

株分けする植物は株を掘り上げたり、鉢から丁寧に抜き取って根を傷めないように土をふるい落とし、地下茎や根のつながりを確かめて適当な大きさに分離します。

ひと芽ずつに分けてもよいのですが、できるだけ多く根をつけるように切り分けると失敗がありません。ひどく細かい根や、長すぎる根は、ある程度切りつめます。しおれを防ぐために、大きな下葉などは葉の面積を1/22位に切りつめます。

根が太いものは、乾かし気味にしてから

君子らんのように根が太いものは、株分け数日前から水やりをやめて乾かし気味にすると、根を傷めないですみます。また、シュロチク、カンノンチクなどのように根が太く入り乱れているものは、株を分ける前に水につけ振るようにすると、根を傷めずに根土を落とせます。

植えるときは鉢がえに準じますが、根が均等に広がるように注意し、その後の手入れも鉢がえに準じます。

さし木

さし木は、親株が生長していて、充実したさし穂があり、発根、発芽に適当な温度があればいつでも行うことができます。ただ、多くの種類において、6~7月上旬までにさすのが最適です。というのも、真夏だと腐敗しやすく、秋だと発根は容易でも苗が充分育たないうちに寒くなってしまうからです。また、地温が15℃以上保てないと発根しないので、冬は適しません。

さし木は用いる部分によって次のように分けられます。

茎ざし

茎の先端をさし穂として使う「頂芽ざし」や、茎を5~10㎝に切ってさす「胴ざし」などがあり、いろいろな植物がこの方法でふやせます。

葉芽ざし

葉ざしと茎ざしの中間で、葉と共にわき芽をつけてさします。ハイビスカス、ブーゲンビレア、ハイドランジアなどが対象です。

葉ざし

植物の中には、葉を1枚切り取りさすと芽吹くものもあります。セントポーリア、ぺペロミア、ベゴニア、サンスベリアなどです。この中でベゴニアやサンスベリアなどは、葉をさらに細かく切り分けてもさすことができます。ただし、葉ざしでは斑入り葉の斑がなくなることもあります。

根茎ざし

地下茎を切り分け、ふせて置いて発芽させます。サンスベリア、ドラセナなどが対象です。

根ざし

根を切断してさすことで発芽させます。ポインセチァ、ガーベラなどが対象です。

とり木

母株の枝に切り傷をつけて発根させた後、分離独立させる方法で、ゴム、クロトンなどでよく行われます。

さし穂の作り方

さし穂のつくり方を紹介します。まず、よく切れる刃物で節の真下を水平、または斜めに切り、水揚げをします。大きな葉をつけているものは葉を適度に切ります。特に花キリンやゴムの木のように白い粘質液を出すものは、それがかたまり、切り口からの水揚げを悪くしますから洗い流す必要があります。

サボテン類やその他の多肉植物は、1~2日間陰干しをして切り口を乾かしてからさし木すると、腐敗を防止することができます。

さし木用土

さし木用土は、排水、通気、保水性がよく、雑菌の繁殖の危険のない清潔な用土を用います。砂、赤玉土、バーミキュライトなどがよいでしょう。

さし木後の管理

さし木をした後の望ましい温度は生育適温よりやや高めと考え、置き場所を選びます。直射日光はさけ、不足しがちな空中湿度を高めるために、軽くポリ袋をかぶせたり、霧吹きをこまめにするなど、工夫するとよいでしょう。

種まき

適期は春は桜、秋は彼岸花の咲く頃です。用土は水はけがよく、清潔で肥料分のないものを用い、鉢や箱に薄まきします。厚まきは徒長し、病気にかかりやすくなるので避けます。特に丈夫なもの、移植を嫌うものはじかまきすることもあります。

覆土や水やり

覆土(ふくど)は種子の厚みの2~3倍が原則。ただし好光性のものや種子が微粒の場合は、手で軽く押えつけるようにするだけでよく、土かけは不要です。

水やりは、まき鉢を浅水につけて底から吸水させ、発芽するまで乾燥しないように気をつけます。

発芽適温は生育適温よりやや高いので保温に注意します。発芽後は光によく当て、徒長しないように育てます。