栽培と「温度」

植物と温度は深い関係があります。それぞれの植物が育つうえでもっとも適切な温度のことを「生育適温」と呼び、生育適温になると、植物は光合成が最も盛んになります。

光で温度を調節する

光の量と温度とは相関関係にあるので、低温下では充分光を与え、逆に高温下ではいく分光を遮ってやることで、調節することもできます。

冬と夏

寒い冬は、陰性植物のような例外を除いて、できるだけ光に当てることを心がけましょう。一方、暑い夏は木陰やよしずの下などに置いて、涼しくしてやりましょう。

発根適温は高め

適温ということは、厳密にいえば同じ種類でも発芽、発根、生長、開花、結実などの生育段階によっても差がありますが、一般に発芽、発根適温のほうが、生育適温よりやや高く、開花中は逆に低めのほうが、花が長もちします。

昼と夜の適温のちがい

夜間は温度を高めに

植物というものは、夜になると呼吸作用だけになり、昼間のうちに光合成で貯えた同化物質を消耗して過ごします。この呼吸作用は高温下のほうが盛んになり、ひどくなれば植物が衰弱することすらあります。衰弱を避けるために、夜間は日中より低めの温度におさえましょう。

寒さによって花が咲く植物

植物の花芽形成や開花は、種類によっては寒さと密接な関係があります。例えば、ハイドランジアやデンドロビュームは、寒さが来ると生育が止まり、花芽ができます。

アザレアや君子らん

またアザレアは、すでに夏の間に花芽ができているのですが、初冬の寒さにあって休眠が覚め、春に開花します。君子らんは秋から初冬の寒さにあうと、正常に花茎が伸びて美しく開花します。

品種にあわせて柔軟に

このように、寒さにあうことが開花に関係あるものは、室内に入れる時期を、それぞれの種類や品種に合わせてかえる必要があります。

植物にも順応性がある

寒い間、ことに夜間に充分な温度が保てず生育障害を起こしたことはありませんか?そんなときは、家の中が真夜中や明け方にどの位の温度になっているのか、最高最低温度計で一度計ってみるとよいでしょう。ことに寒い間は、夜間に充分な温度が保てず、冬ごし温度を割って、生育障害をおこすこともあります。ただ、植物にはある程度環境に順応する性質があるので、普段から低温に慣らしておくことも必要です。

買ったばかりのときが要注意

植物に合った場所をみつけ、なじませるまでには時間がかかるものです。特に買いたての鉢には注意しましょう。至れり尽せりの温室から出たての花にとって、一般の住宅は環境悪化のはずですから。

耐寒性をつけるためには

寒さに耐する抵抗力をつけるには、次のことに気をつけましょう。

(1)日中適当な光に当てる

(2)蒸れるような高温を避ける

(3)暖房器具の傍に置かない

(4)急激な温度の変化を避ける

(5)水をやり過ぎない。

何かトラブルが起きたときは、よく観察し、原則と照らし合わせて考えて下さい。なぜ大きくならないか、なぜ花がつかないか・・・その問いかけに植物は全身で答えているはずです。